博士号取得大作戦! -presented by Mika- -3ページ目

あるある大辞典騒動は科学ねつ造問題の縮図

科学世界で起きてるねつ造問題を

かんたんに説明するのにピッタリの事件発生!


そう、あの

「あるある大辞典の納豆ねつ造騒ぎ」のこと。

朝日新聞が一面トップで伝えるほど

大騒ぎになったアレです。


「納豆で痩せた!」写真や血中成分のねつ造を行った

納豆の放送回を作ったのは、関西テレビ。

なぜねつ造したのかと問いつめられて、

「取材が難航し、スタッフが追いつめられた」

と弁明したんだそうです。(*1)



これをそのまま

「実験・研究が難航し、研究者が追いつめられた」

と読み替えれば奥さん!

あらふしぎ、今の科学世界の現状に

ピッタリマッチですよ!!(笑)


ある期限までに、科学データを使って

成果(=番組)を作り終えるよう求められ、

でも成果が出なくて追いつめられた時、

人間は「科学データのねつ造に走る」という法則が

一般の方にもよく分かった事件だと思います。



ここで、ねつ造するしかなかった番組スタッフを

個人的に責めても何にもなりません。

番組スタッフが精神的に弱かったから

ねつ造したんじゃないんですもん。


憎むべきは、「必ず成功する番組を作れ」という

プレッシャーそのもの。

当たるも八卦当たらぬも八卦の科学データに対して、

「必ず結果を出せ」と圧力をかける

番組制作過程の構造、それ自体です。



「でも今回はメディアの人間なんだし、

倫理面の不備は仕方なかったんじゃないの?」

いえいえ、科学者だって人間ですから、

基本の行動原理は一緒です。


文科省の方々、ぜひとも「あるある大事件騒動」を教訓に、

科学者の評価方法についても

再検討お願いしたいのですが、いかがでしょう?(笑)



--


それにしても、今回のあるあるスタッフは気の毒だ。

科学データだったからバレてあんなに叩かれたけど、

他のデータ、例えば「視聴者からの質問ハガキをねつ造」

とかだったらまずバレなかっただろうし、

あそこまで叩かれることもなかっただろう。


そもそも、既存マスメディアは

ある情報が正しいか正しくないかなんてことには、

あんまり価値を置いてないと思う。

はっきり言えば、ウソを平気で作って垂れ流すのが

マスメディアだと思う。


私は以前から、マスメディアの情報に対しては

疑いの目で見ていたが、

ライターの仕事を始めて、ますます疑うようになった。


だって既存マスメディア(雑誌とか)からもらった仕事って、

内容の真偽はあんまり問われてないもん。

例えばこないだ、ある取材相手をインタビューして

原稿を書いたんだけど、

相手が実際に言った内容を書いた部分が

まるっきり削られて、

その人が全く言ってない内容に差し替えられ、

そのまま出版されてた。

ね、テキトーでしょ?


もちろん、マスメディアの流すすべての内容が

100%ウソとは言わないけど、

どこまでが本当でどこはウソなのかなんて、

マスメディアは結構どーでもいいと思ってるのかなー

って感じるし、実際そういう体質なんだと思う。


だから、おそらくそういう体質にどっぷり浸かってた

あるあるスタッフは、

今回ちょっと造ってみたらいきなり叩かれて、

たぶん晴天の霹靂でオロオロしてると思う。

本当に気の毒。



--


それにしても、あるある大辞典が言ってることなんかを

「効くのね!!」なんて目を輝かせて

まるっきり信じちゃうのが

そもそも間違いなんだけどなぁ(笑)


まぁ確かに、番組中ではグラフが出たり、

使用前使用後の写真が出たりして

一見しただけでは「科学的な検証結果」に見えてしまうから、

科学者ではない一般の人たちが見たら、

信じてしまうのも仕方ないのかも。


実際、知り合いの美容師さんに聞いてみたら、

「あるあるの内容は全部本当だと思ってた」ってさ。


でもあんなのって実態は極めてあいまいな、

いわば「科学の着ぐるみ」だよね。

水からの伝言騒ぎといい、

科学の着ぐるみをかぶってる情報が、

世の中でいま一番タチが悪いと思う

今日この頃なのでした。



*1 朝日新聞 2007年1月22日社説より一部引用

論文ねつ造経験者が生き延びる方法

東大の多比良教授が、懲戒解雇になりました。
捏造したとは断定されていない段階で、
限りなく黒に近いグレーでの解雇です。


日本で連続露呈した論文捏造・不正疑惑騒動は、
とうとうサイエンス誌 でも取り上げられてしまいました。
今後日本で、かつての業績の見直し、
捏造発見時の厳罰化の流れが加速するのは確実です。

あなたがかつてしてしまった捏造も、
おそらく、近いうちに白日の下にさらされるでしょう。


すでに捏造してしまったあなたが、
今後も生き延びるために、
とりうる方法は2つあります。


・捏造を含む論文を丸ごと取り下げる(withdraw)
・捏造部分を訂正する(erratum)


具体的なやり方の説明は割愛しますが、
論文figureのコピペについて訂正(erratum)を出した、
この論文 などが参考になるかもしれません。

(こないだの記事 の3つめで取り上げた論文ですね)


捏造なんてしたくなかったのに、
結果的に捏造に荷担してしまったなら、
まだ間に合います。
withdrawとerratumを上手に駆使(?)して、
取り下げを検討してみてください。


--


現在、日本国内において
論文の内容を捏造した科学者に対して
大変厳しい罰(懲戒)が科せられています。

これは、科学の世界が
「捏造には厳しく当たる」との姿勢を
前面に押し出している結果で、
個人的には、非常に好ましい流れだと思います。


ただ一つ問題なのは、今のところ
「かつての過ちに対し、時効が定められていない」
点です。
これでは、過去一度でも捏造をしてしまった人は、
いつバレるか、いつ罰を受けるのかと
永遠にビクビクしながら生きていかなければ
なりません。

でもそんな生活、絶対ムリ。
いつか何かが破綻します。


だからこそ、すでに捏造してしまったあなたとしては、
外部から捏造を指摘されるその前に、
自らの手で予め、
過ち部分を上手に取り下げておくのが大切です。


--


それから、「少しくらいの捏造なら良い」なんて
発言する人がたまにいますが、
それは「万引きは盗みに入らない」と
主張するくらい、おかしな詭弁ですよ。

今後も研究者として生きていきたいなら、
「少しくらいなら……」の心を、
ぜひ今の内に摘み取っておくことをオススメします。


繰り返しになりますが、サイエンスの世界は
捏造をなくそうとする方向に
急ピッチで動いています。
「少しくらいの捏造なら……」と考える人は
生きていけない世界になると思うのです。



--
Survival technique for reserchers in evil way

M. Sato 1/9/07

新年早々ビックリニュース、αとβが仲良しに?!

新年のご挨拶が遅くなりましたが、

皆さま、あけましておめでとうございます。

昨年は、科学業界がねつ造問題に揺れた年でしたね。

今年はもっと明るいニュースがたくさん採れますよう、

心からお祈りしています。


--


さてさて、ここのところねつ造問題にかかりきりで

全然自分のことについて書いていませんでしたが、

私は元気に生きておりますですよ。


正式に休学してから、1年と2ヶ月。

うつはとっても良くなって、

ぼちぼちながらも活動できるようになりました。


社会復帰がてら始めたアルバイトを

7月で満期退社した後は、

フリーのライター兼校正者として、

結構ありがたくお仕事させていただいてます。


特にライター業、

何のツテもない状態からいきなりフリーになったのに

意外にうまく進んでいくので、

一時は「もうこのままライターになっちゃおうか」

なんて思ったりもしました。


が、しかーし! やっぱりダメ!

どうしてもどうしても、

研究は捨てられないみたいなんですよ~


友達とのサシ飲みでも、編集者との打ち合わせでも

二言目に私の口から出てくる言葉は

「研究にいつ戻るか」ばかり。

今の姿はあくまでも仮、

いつかは研究に戻る、のが

すでに前提条件みたいなんです。


このままライターやってても、

たぶん研究はあきらめられないんだ、と。

自分のやりたいことが何なのか、

やっと心底理解できました。


それなら、やっぱり研究に戻るしかないよね。


というわけで、昨年末に

それまでいただいてた仕事をざっくり減らして

頭のリソースを確保。

博士号取得大作戦、いよいよ再稼働開始です。


--


んで、まずは復帰作戦を立てるべく、

β主任の近況について情報収集してみたら、

びっくりな事実が!


β主任と、あの例の悪代官 が、

どこからともなく知り合いになって、

今ではめちゃくちゃ仲良しなんだそうです!


うへー、二人ともワルだからなぁ、気が合うのかな?

すごいペアができたもんだ……。

しかしあんなに広い○研内で、

どうやって知り合ったんだろう?



でもね、驚くのはまだ早かった。

そのワル連合(?)の仲間に、なんと

α教授まで入っていることが分かったんです!



えーっ???????

なんでそーなるのさ?!

うむむむむむむむ。


……こりゃあ、α教授も

β主任と同じ穴のムジナか(笑)

今まで何度となく感じてきた違和感も、

それなら、なんとなく納得(笑)



ついでに別方面から、α教授は

○研の会議で「空気読めない発言」を

繰り返している情報を入手。


……あー。

そうか、α教授は

そういう人なんだと思うしかないんだな。


--

アスペルガー、うつ、α教授、β主任。

「未果に博士号を取らせるにはどうすべきか?」

ずっと考え続けてきたこの研究テーマについて、

全ての前提条件がようやく整った。


この条件で、この私がいて、

私に博士号を取らせるためには

私はいったいどう動くと得でしょうか。


これから一ヶ月くらいかけて、

頭絞って考えてみます。



阪大杉野氏、ようやく懲戒解雇へ

やっと、と言っていいだろう。
阪大教授、杉野氏(ねつ造をした張本人)が
ようやく懲戒解雇処分となった。

杉野氏の研究室には、
論文内容のねつ造を指摘し、後に死に至った
阪大元助手、故川崎氏が所属していた。
遺された川崎氏のご家族は、
処分をどのような気持ちで聞いたのだろうか。

処分が決定されるこの間に、阪大では
有志により「川崎さんを偲ぶ会」が開催された。
私は直接の知り合いではないし、
場所も遠かったので足を運ぶことはなかったが、
故人を偲ぶ思いは一緒だ。


川崎さん、どうか、安らかに。
あなたの行動は、間違っていなかったはずです。
あなたの勇気を皆が知り、心に留め、
これから日本の科学世界で
苦しむ人がこれ以上あらわれませんように、
苦しさのあまり、ねつ造が頭によぎったとしても、
決して悪しき道に足を踏み入れることが
ありませんように。


杉野氏が懲戒解雇になっても、
何かが変わるわけではない。
ただ私たちは、この出来事を忘れず覚えておいて、
二度と同じ轍を踏まないよう、
日々心がけなければならない。




つーか偉そうにしてても人類は所詮サルなんだから、
せめて大脳使って、出来事に学ぶしかないっつーの。
この事件忘れてねつ造する奴は、バカだね。
はっきり言って。


--
先日の晩餐
・生ビール小ジョッキ1杯
・焼酎ロック4杯 +まぐろカマ焼き
しゃっくりしながら帰宅し、翌日はひどい二日酔い。
翌々日から風邪でダウン。久々にダメダメ。

阪大助手自死・論文ねつ造疑惑 記事リンク集 【12/21追記あり、ひとまず更新終了】

今までに発表されている関連記事リンク集

(今回でひとまず更新終了します)


12月20日
読売新聞 New! (KBRさんThx!)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061220-00000415-yom-soci
(阪大杉野明雄教授、20日付で懲戒解雇処分に)


10月24日 

朝日新聞 

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200610240060.html

(阪大杉野教授、懲戒解雇処分案に不服申し立て(私感:えっ???))


毎日新聞

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061024k0000m040165000c.html

(阪大研究教育評議会、杉野教授の処分を正式決定か)


10月18日

朝日新聞 (from 柳田先生のブログ  Thx!)

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200610170076.html

(杉野教授の02年論文2報にもねつ造の疑い、阪大が追加調査開始)
私感:ついにきましたね。この論文は当ブログ9/21記事 のものと同じ(確認済)なので、詳細はそちらをご覧下さい。他にはもうないのか、徹底追及を期待します。


10月7日

毎日新聞

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2006/10/07/20061007ddm004070009000c.html
(ねつ造事件を俯瞰した解説記事)


10月3日
朝日新聞!

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200610030351.html

(画像処理ソフトでのねつ造は簡単で、不正を見抜くのが難しい)


9月28日

毎日新聞 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060928-00000020-mai-soci

(阪大報告書にない2つの論文について、ねつ造疑惑が浮上 詳しくは別エントリーで後ほど解説します)

読売新聞 

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060928i501.htm?from=main5

朝日新聞  (Kachila さんThx!)

http://www.asahi.com/national/update/0928/OSK200609280020.html

(杉野教授の科研費が使用停止に)


9月25日

阪大 調査報告書および研究科長談話 

Very Important

http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/reports/index.html

報告書直リンク 。題名は"FinalReport20060921")


読売新聞

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20060925p302.htm

(阪大、杉野教授に懲戒解雇の方針を通知。正式決定は10月)


9月23日

時事通信

http://news.www.infoseek.co.jp/jiji/society/story/060923jijiX941/

読売新聞

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20060923p101.htm

毎日新聞

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060923k0000m040160000c.html

(9/21発行のNatureに関連記事が掲載された。原題は「Mystery surrounds lab death」、記事はこちら のp.253(有料))


9月22日

毎日新聞

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060923k0000m040142000c.html

(ねつ造は教授の単独行動。動機は著者の業績を充実させるため(私感:意味がわからない。教授のメリットは何だ?))

朝日新聞

http://www.asahi.com/national/update/0922/OSK200609220087.html

読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060922i101.htm?from=main1

(S野教授のねつ造論文、新たに1報見つかる)


9月21日

読売新聞

http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_06092122.cfm

(阪大が「ねつ造はS野教授の単独行動」と断定)


9月10日

読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060910i403.htm


9月8日

バイオテクノロジージャパン

http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20038831

(全文を読むにはログインが必要)


9月7日

産経新聞社

http://www.sankei-kansai.com/01_syakai/sya090704.htm

日経ネット(共同通信配信記事)

http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/35398.html

読売新聞社

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20060907p401.htm

日刊スポーツ

http://osaka.nikkansports.com/news/p-on-tp6-20060907-86565.html


9月6日

毎日新聞社

http://www.mainichi-msn.co.jp/kansai/news/20060906ddf001040027000c.html

朝日新聞社

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200609060061.html

西日本新聞社

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20060906/20060906_093.shtml


論文にひそむアーティファクト

死者が一人出ている大事件、阪大捏造論文事件はいったいいつ決着するのでしょうか。最重要人物である杉野教授が、先日懲戒免職処分に異議をとなえたのはどうしてなんでしょうね。何がどう不服なのか、彼の主張もぜひ公開してほしいと感じる今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

彼にどのような裁定が下るのか、クビを長くして待っているのですか、結論が出るまでにはまだまだしばらくかかりそうな気配なので、この間に、私の知っている限りの「論文のアーティファクト」を指摘してみたいと思います。


まずは問題の杉野教授、後から指摘のあった2論文 について、どこがどうアーティファクト気味なのか具体的に見ていきましょう。

1つめは2002年、酵母の持つDNAポリメラーゼに関する論文から。Fig.2のAとBのゲル電気泳動結果に気になる箇所が2つあります。


1.(元画像、画像はクリックで拡大します)
suginoJBC1-1

2.

suginoJBC1-2

3.

suginoJBC1-2

4.

suginoJBC1-4

(以上、J. Biol. Chem. (2002) 31, 28099-28108. より引用、一部改変は筆者)
画像AのARS1のデータおよびARS305+8のデータが、Bと一部一致しているようですね。


2つめは同じく2002年、別の筆頭著者の論文です。Fig.2の画像右半分、2つの電気泳動像レーンのゴミみたいなバックグラウンド部分にご注目ください。


1.(元画像)
suginoJBC2-1

2.

suginoJBC2-2

3.

suginoJBC2-3

4.

suginoJBC2-4

(以上、J. Biol. Chem. (2002) 40, 37422-37429. より引用、一部改変は筆者)
この2つは別の実験なはずなので、バックグラウンド部分まで全く同じゴミが出るとは考えにくいんですが……うーん。


以上、杉野教授の追加疑惑論文についてお伝えしました。


--


ここからは趣を変えて、某2ちゃんねる(某になってないですね(笑))で流れているウワサの中から、私が確かにアーティファクトだと確認できたものだけをピックアップして画像で確認していきます。


1つめは、Genes to Cellsという論文誌の2003年7月号から。Fig.3CのSup35scとSup35yrscの上のレーンが……


1.(元画像)
GenesCells1

2.

GenesCells2

3.

GenesCells3

4.

GenesCells4

5.

GenesCells5

(以上、Genes Cells. 2003 Jul;8(7):603-18. より引用、一部改変は筆者)
Sup35scとSup35yrscは全く別のサンプルのはずなので、電気泳動像がぴったり重なることはまずあり得ません。これは正にアーティファクトと言えるでしょう。ちなみに下のレーンはちゃんと異なっています。


なんか疲れてきたのでもう画像だけ並べていきます。


2つめはMolecular Microbiology誌、2004年11月発表。Fig.2Bです。


1.(元画像)
MM1

2.

MM2
3.

MM3
4.

MM4

5.

MM5
(以上、Mol Microbiol. 2004 Nov;54(4):1063-75. より引用、一部改変は筆者)


3つめで最後ですが、これはちょっと説明しなきゃだな。
Genes & Development誌、2005年発表の論文。各画像とも上はFig.3のB、下はFig.5のBでそれぞれ別のFigですが、画像をかんたんに比較できるよう、筆者が一枚にまとめました。


1.(元画像)

GD1

2.

GD2

3.

GD3

4.(赤部分を横に104%拡大)

GD4

5.

GD5

(以上、Genes Dev. 2005 Sep 15;19(18):2176-86. より引用、一部改変は筆者)

ポイントは4枚目。どういうわけか、ちょっと横比率が変化しているんですね。ヘンに一手間増えている分、さらに謎が深まると言いますか……


以上5点、画像は見た目をできるだけいじらずにお伝えしたつもりですが、気になる方はご自分でもチェックしてみて下さい。

科学論文にはまだまだアーティファクトが隠れているような、そんな予感を感じてしまいました。


--

昨日の晩酌

・海 (芋焼酎、25%、大海酒造) ロックで。

一升瓶がもうすぐ飲み終わります。

速報!不正告発窓口は匿名でもOKに


文科省が8月に予告した「研究に関する不正告発窓口の設置」について、ついに窓口が正式に設置され、稼働しはじめたようです。


>告発受付窓口を設置 論文不正で文科省

> 文部科学省は7日、論文捏造(ねつぞう)など

>研究成果をめぐる不正疑惑の告発を受け付ける窓口を、

>同日付で省内に設置したと発表した。

>告発者の実名匿名を問わず、寄せられた情報は
>大学などの研究機関に送付し、各機関の判断で

>調査を始める。
アサヒ・コム11/7該当記事 より一部引用、強調は筆者)


◆その後、告発はやはり実名でしなければいけなくなったようです。多分、匿名告発が多すぎて対応できなくなったんでしょうね。最新情報は文科省内該当ページ でご確認下さい。(12/28追記)


ちなみに窓口情報は以下の通り。
窓口……文科省科学技術・学術政策局基盤政策課

電話・ファクス・電子メール……文科省内該当ページ で最新情報を確認してください(12/28修正)


--


このニュースを受けて、告発を真剣に考え始めた方ヘ。

仮に匿名で告発しても、いつかはバレるものだと考えて慎重に行動してください。また、全ての告発が適切に処理されるとは限りませんので、期待しすぎない方が賢明です。くれぐれも軽率な判断は禁物、まずは自分の身の安全を最優先に確保してください。

(私は追いつめられた状態で出口をムリヤリ探し、却って傷ついた経験があります(詳細記事はこちら )。苦しいのはとてもよく分かりますが、慌てず、この手段だけに頼らず、柔軟な行動を念頭に置いてください。もし精神的に追いつめられているなら、まずは今の仕事を離れて休みを取ることを考えてください。少し休むと頭がすっきりして、もっといいアイデアが浮かぶはずです)


◆えーと、匿名告発はできなくなったみたいです、再度念のため。(12/28追記)


これもねつ造? 核実験実施は本当なのか

北朝鮮が核実験をしたとアメリカが公式に確認し、連日テレビや新聞で「核」「核」「核」の連呼。実に賑やかしい今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか? ……って文章の作りがすっかりきっこ風だ。きっこの日記 では今また大騒ぎが勃発してますが、それはまあ置いといて。


北朝鮮の核実験公表以来、国際社会がめまぐるしく対策に動いているのは皆さんご存じの通りだけど、この状況、なんかヘンだと感じるのは、私だけ?


北朝鮮が核実験を行ったと発表したのは10月9日のこと。アメリカの報道によれば、11日に北朝鮮の実験場付近で大気を採取し分析を進めたところ、微量の放射性物質を確認したらしい。この報告は16日に公式発表され、報道機関は一斉に「北朝鮮の核実験を確認」と報じ、実験はすっかり既成事実になった。


一般に核実験を行うと、大気中にクリプトンやキセノンの同位体が放出されると言われている。だからそれらの同位体が観測できれば、各国の地震計で観測された爆発は、確かに核実験だったと断定できる。「北朝鮮の核実験を確認」とここまで明確に言ってるんだから、当然いろんな団体や国ががいろんな角度から検証し、何らかの核実験痕跡データが複数取れたんだろうと思うよね。


ところがところが、20日の時点で放射性物質を検出したのは、世界中でアメリカただ一国なのだ。日本ではまだ一度も放射線を確認できていない(参考:文科省HP )し、さらに、日本よりも検出精度が高いと言われているCTBTO (核実験全面禁止条約機関)準備委員会でも、13日の時点で一切放射性物質の検出はなかったそうだ(参考:毎日新聞報道 )。


それなのに肝心のアメリカはデータの詳細を一切明かしていない。16日にアメリカのネグロポンテ米国家情報長官が出した声明では、「米国が北朝鮮の核実験発表後の11日に周辺地域で採取した大気を分析した結果として、『放射性物質が検出され、北朝鮮が9日に地下核爆発を起こしたことが確認された』」と状況を述べているだけで、具体的なデータには一切触れていない。


まあ各所で報道されているとおり、核実験がごく小規模の状態で不発に終わったんだとしたら、複数の観測でたった一回しか検出できなかったという状況も説明がつかないことはない。それに核実験そのものの完全な封じ込めに成功すれば、発生する同位体も検出できない。北朝鮮の発表通り「実験は成功し、核物質は完全に封じ込めた」のなら、検出が困難なのは想像に難くない。


でもアメリカは「検出した」と言ってるんだから、何かの同位体を検出したんだろう。それならせめて、検出した核種が何だったかくらいは発表してもいいと思うんだけど、現時点では核種すら発表されていない。アメリカの主張する「おおもとの証拠」は、一切どこにも発表されていないのだ。


この状態では、「北朝鮮が核実験を実施した」と完全に決めつけるには早いんじゃないかと思うんだけど、違うのかな。
アメリカは検出したはずの放射性物質の具体的データも出さず、核種すら明かしていなくて、外部からは一切真偽を検証できない状態なのに、「あれは核実験でした」って断定して大丈夫なの? なんでこのわずかな情報だけで「断定」の報道ができるの? なんか中途半端に「科学の力」を利用してない??


根拠があいまいなまま突っ走る国際社会の流れをみて、イラク開戦直前の大量破壊兵器騒動を思い出した。「イラクは大量破壊兵器を持っている」とアメリカが断言して、戦争になだれこんだあの状況。でもあれって結局、その後ブッシュ大統領が「大量破壊兵器はありませんでした」って発言撤回したわけでしょ? 完全にインチキだったわけじゃん。


まさかと思うけど、まさか、まさか、今回の「核実験と断定した」声明が、何の根拠もないでっち上げってことはないよねぇ??
でっち上げじゃないなら、核種知りたいし、生データ見たいな。日本の文科省みたいにさ、思い切って出してくれないかな。ねつ造を疑ったときにはまず生データに当たるのが基本らしいんですよ。えっ、なになに、軍事機密なので見せられませんか??


……まぁ、北朝鮮が「核実験しました」って言ってて、アメリカが「確かにしてました」って発言したら北朝鮮としては願ったりかなったりなんだろうけど、だとしたらなんでそんなことする必要あるんだろう。 なんか最近ヘンじゃない?

詳しくは言えない雑感


最近たまたま立ち寄ったスーパーで、白金ナノコロイドという物質が入っている飲料水を見かけた。他にも化粧品とか、健康食品とかに配合されていて、ちょっとした白金ナノコロイドブームらしい。効果は「抗酸化」。「サビない体になるために」みたいな、老化防止をにらんだ物質のようだ。

でもね、もしかしたらこれ、うーん、多分ちょっとアレだよ。まだあんまり大きな声では言えないし、詳しくも言えないんだけど、これ、ちょっと避けといた方がいいと思う。悪いこと言わないから、コエンザイムQ10にしときなって。


他にも、「あれはちょっとヤバイよ」と思うものは世の中にいくつかある。この際だからこっそりお伝えすると、まず、アメリカ産牛肉はヤバイ。アメリカでは数年前から、ヤコブ病とおぼしき患者が増えてるっていうレポートがあるんだよね。私は頭がスポンジになりたくないので、牛肉は産地を選んで食べてる。

それと、高磁場を使った体内スキャン装置もあまり良くないと見ている。エックス線レントゲン装置で検査を受けたおかげでガンになってるケースが実はけっこうあるんだけど、ある論文を見る限り、高磁場の装置もそのくらいの危険を含んでいると私はにらんでる。


まぁ、どんな生活しててもすべての危険を0にすることはできないから、多少のリスクは仕方ないんだけどね。レントゲンにしたって、その検査をしたおかげで助かっている命がたくさんあるわけで。つまり得られるベネフィットとリスクを両方検討して、どの程度までならリスクを負うかってことだよね。まぁ、あえて自分から危険に飛び込む必要はないという気もするけど。


反対に、悪の権化のように言われているダイオキシンは、実は人間には全く無害であるという説がある。実際、1976年夏にイタリアの街セベソで化学工場が爆発した際、推計で数百gものダイオキシンを含む灰が飛び散り、それを浴びた人間は全部で3万人以上いたのに、死亡者はゼロ。たった1gで1万人以上の人間を殺せると名高い(?)ダイオキシンが、実際には数百gでただのひとりも殺せなかったこの事実。いったいどこが猛毒なのか、というわけだ。

一方、モルモットやマウスなどを使った動物実験では、「ダイオキシンの半数致死量は0.6μg/kg(モルモット)。ほんのちょっぴり与えただけでも半数が死んでしまう猛毒だ」という結果がじゃんじゃん出ている。前述のセベソでも、ウサギなどの小動物は3000匹以上死んだらしい。

これらの情報がすべて正しいとすると、導き出される答えはこのようになる。すなわち、「人間以外の動物はダイオキシンに弱いけど、人間だけはへっちゃら」。なぜか。

そもそもダイオキシン類は火で食物などを炙ればすぐに発生する物質だ。すると、古来から火を使って食物を処理してきた人類は、大昔からダイオキシンを食べまくっているということになる。それならなじみこそあれ、毒になんてならないのかもしれない。反対に、実験用の動物を含む人間以外の小動物は、先祖代々ずーっと火で炙った食べ物を食べた経験なんてないから、ダイオキシンに弱いままだということか。これは単なる推論だけど、我ながら面白い説だ。


とはいえ、まさか自分で致死量(と言われている)ダイオキシンを飲んで人体実験してみる勇気はないなぁ……と思っていたら、「ダイオキシンは無害だと主張して、実際に致死量を飲んでみた日本人の科学者がいる(そして存命)」というウワサを聞いた(笑) ホントかどうかまだ裏が取れないんだけど、ウワサがもし本当なら、その科学者は本当の意味で命をかけて科学している、尊敬すべき人物だと思った。

大事なのは「平気そう、害はなさそう」または「危なそう」な雰囲気とかじゃなくて、確かな事実を尊重する科学の心だよね。なんて、柄でもなくマジメに声を大にしていいたい秋の日でした。


早大松本教授の処遇と文科省発研究費アンケート

なんかすっかり「ねつ造問題ブログ」化している当ブログですが、それ以外にもマイアンテナに引っかかったニュースは紹介していきますよー。今日のお題は以下の2件。


◆早稲田大の松本教授、懲戒処分は停職一年


該当記事(朝日新聞


主な理由は「流用資金が私的な目的で使われた形跡がないため」とのこと。

つまり、自分の為に流用したわけじゃないみたいだから、解雇するまでではない、という判断が働いたようだ。もし仮に「自分のために毛皮のコート買っちゃいました」だったら、即懲戒解雇だっただろう。


うーん、そういう判断をした大学側の気持ちは分からんでもないなぁ。松本先生は、確かに資金利用の倫理面については相当無知でマヌケだったわけだけど、本人の言っていた「学生のためのプール金だった」という主張は嘘ではないと感じるし、プール金やってた事例は他にもたくさんあるわけだし、少しだけ気の毒にも感じる。


でも、今回の不正は額がハンパじゃないし、問題発覚が社会に与えた影響は大きかった。依頼退職は仕方のないことだろうと思う。ご本人は、きっとものすごくがっかりしてるんじゃないかな。個人的には、彼女が他の不正を暴いて共倒れするんじゃないかと勝手に予想していたので、ちょっと肩すかしではある。



◆文部科学省が「研究資金制度運用の問題点についてアンケート」やってます。


スラッシュドット ジャパン  から得た情報です。thx!


文科省が、最近ひんぱんに起きている研究資金流用問題について、必死に解決策を練っているようです。そしてその一環として4日から、現状では資金使用にどんな問題があるのかについて情報収集するためにアンケートをとっています。内容は、「研究資金のどこがどう使いにくいのか、くわしく教えてください」。


アンケートの主な対象者は「いま研究費をもらっている研究者、研究費の管理・運営している人、または研究資金制度に関心を持つ人」だそうです。
締めきりは10/18で、郵送・FAX・emailで送付。無記名でOKです。


どうやら日本は、もうしばらくは「科学技術立国」を掲げて頑張るつもりなんでしょうね。科学世界に予算がたくさん来るのはありがたいので、どうやってうまく使うか、知恵を出しあいたいところです。国に直接意見を伝えるいい機会だし、もうこんな機会は二度とないかもしれないので、研究費の使いにくさについてご意見のある方はじゃんじゃん送ってみてはいかがでしょうか。
……私も送ろうかな。



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昨日の晩酌

・海 (芋焼酎、25%、大海酒造) ロックで。

すっきりしてクセのない焼酎。実家の母がくれました。母は自分は飲まないくせに、私に酒をどんどんくれるんです。先日は焼酎の一升瓶6本セットが突然家に届きました。もちろん送り主は母です。……おかしいべ、この状況。