あるある大辞典騒動は科学ねつ造問題の縮図
科学世界で起きてるねつ造問題を
かんたんに説明するのにピッタリの事件発生!
そう、あの
「あるある大辞典の納豆ねつ造騒ぎ」のこと。
朝日新聞が一面トップで伝えるほど
大騒ぎになったアレです。
「納豆で痩せた!」写真や血中成分のねつ造を行った
納豆の放送回を作ったのは、関西テレビ。
なぜねつ造したのかと問いつめられて、
「取材が難航し、スタッフが追いつめられた」
と弁明したんだそうです。(*1)
これをそのまま
「実験・研究が難航し、研究者が追いつめられた」
と読み替えれば奥さん!
あらふしぎ、今の科学世界の現状に
ピッタリマッチですよ!!(笑)
ある期限までに、科学データを使って
成果(=番組)を作り終えるよう求められ、
でも成果が出なくて追いつめられた時、
人間は「科学データのねつ造に走る」という法則が
一般の方にもよく分かった事件だと思います。
ここで、ねつ造するしかなかった番組スタッフを
個人的に責めても何にもなりません。
番組スタッフが精神的に弱かったから
ねつ造したんじゃないんですもん。
憎むべきは、「必ず成功する番組を作れ」という
プレッシャーそのもの。
当たるも八卦当たらぬも八卦の科学データに対して、
「必ず結果を出せ」と圧力をかける
番組制作過程の構造、それ自体です。
「でも今回はメディアの人間なんだし、
倫理面の不備は仕方なかったんじゃないの?」
いえいえ、科学者だって人間ですから、
基本の行動原理は一緒です。
文科省の方々、ぜひとも「あるある大事件騒動」を教訓に、
科学者の評価方法についても
再検討お願いしたいのですが、いかがでしょう?(笑)
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それにしても、今回のあるあるスタッフは気の毒だ。
科学データだったからバレてあんなに叩かれたけど、
他のデータ、例えば「視聴者からの質問ハガキをねつ造」
とかだったらまずバレなかっただろうし、
あそこまで叩かれることもなかっただろう。
そもそも、既存マスメディアは
ある情報が正しいか正しくないかなんてことには、
あんまり価値を置いてないと思う。
はっきり言えば、ウソを平気で作って垂れ流すのが
マスメディアだと思う。
私は以前から、マスメディアの情報に対しては
疑いの目で見ていたが、
ライターの仕事を始めて、ますます疑うようになった。
だって既存マスメディア(雑誌とか)からもらった仕事って、
内容の真偽はあんまり問われてないもん。
例えばこないだ、ある取材相手をインタビューして
原稿を書いたんだけど、
相手が実際に言った内容を書いた部分が
まるっきり削られて、
その人が全く言ってない内容に差し替えられ、
そのまま出版されてた。
ね、テキトーでしょ?
もちろん、マスメディアの流すすべての内容が
100%ウソとは言わないけど、
どこまでが本当でどこはウソなのかなんて、
マスメディアは結構どーでもいいと思ってるのかなー
って感じるし、実際そういう体質なんだと思う。
だから、おそらくそういう体質にどっぷり浸かってた
あるあるスタッフは、
今回ちょっと造ってみたらいきなり叩かれて、
たぶん晴天の霹靂でオロオロしてると思う。
本当に気の毒。
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それにしても、あるある大辞典が言ってることなんかを
「効くのね!!」なんて目を輝かせて
まるっきり信じちゃうのが
そもそも間違いなんだけどなぁ(笑)
まぁ確かに、番組中ではグラフが出たり、
使用前使用後の写真が出たりして
一見しただけでは「科学的な検証結果」に見えてしまうから、
科学者ではない一般の人たちが見たら、
信じてしまうのも仕方ないのかも。
実際、知り合いの美容師さんに聞いてみたら、
「あるあるの内容は全部本当だと思ってた」ってさ。
でもあんなのって実態は極めてあいまいな、
いわば「科学の着ぐるみ」だよね。
水からの伝言騒ぎといい、
科学の着ぐるみをかぶってる情報が、
世の中でいま一番タチが悪いと思う
今日この頃なのでした。
*1 朝日新聞 2007年1月22日社説より一部引用