完全告発マニュアル:告発前に、まず自分を守れ | 博士号取得大作戦! -presented by Mika-

完全告発マニュアル:告発前に、まず自分を守れ

あなたがもし研究業界にいて、間近で不正行為を目撃したら、果たしてどうすべきでしょうか。

対処法は2つ。一つは、自分が不正行為に手を染めないようにすること。もう一つは、自分を安全な場所に移し、その後で必ず、かつうまく告発することです。


もしあなたが学生で、他のメンバーの不正に気づいたら、すぐに教授に報告してください。不正とは何かを含めて、相談に乗ってもらえるでしょう。ついでに科学世界における不正とは何か、自分なりに情報を集め、勉強してください。教授が不正を見過ごすようなら、その教授はまともではないので、別の指導者を探すべきです。学会などで知り合った別の研究者に相談し、いい進学先を紹介してもらいつつ、自分でも探してみてください。進学先はできるだけ独断では決めず、分野の近い誰かに相談を仰いでください。


もしあなたが雇われ研究者で、ボスの不正行為を発見したなら、すぐに他のポストを探してください。ボスを指導するのは、自分の親を教育するくらい不可能なことです。次のポストを探す時、また変なボスの下にいく羽目にならないよう、必ず「知り合いのまともな研究者に相談をもちかけ、ポストを紹介してもらってください」。移籍にはどんなに早くても半年程度はかかりますので、その間は焦らず、騒がず、告発もせず、不正もせず、まずポストを得ることに全力を注いでください。常時研究者を公募している研究室は、ハズレが多いものです。また、第一印象が良すぎるボスは、人がくるくる入れ替わる現実をカバーするために第一印象だけ磨かれている場合が多く、要注意です。


もしあなたが雇われ研究者で、ボスあるいは上位の研究者から「不正行為をしろ」と言われた、あるいはしろといわんばかりのプレッシャーをかけつづけられているなら、絶対に自分からはしないようにして、そして、すぐに他のポストを探してください。その時に、「不正行為をしているボスから逃げる為だ」などと、本当のことは決して言わないでください。本当のことは、まともなポストを得て、自分が安全な場所にいると確信してから、少しずつ話すものです。


もしあなたが雇われ研究者で、同僚の不正行為を目撃した場合、対処にはもっとも注意が必要です。ボスがまともで、同僚もまともなら、きちんと正面から注意しても大丈夫かもしれません。もしそういうことをできる間柄でないなら、ボスにこっそりそれとなく知らせるよりありません。もしボスからまともな反応がないなら、そのボスもまともではありません。すぐに他のポストを探してください。


もしあなたが研究室のトップ、あるいは誰かの指導者で、被指導者の不正行為を発見したなら、即座に指導すべきです。立場を上手に利用して、適切に指導してください。指導の後は、その本人を含む研究室の皆で、必ず酒を飲みに行ってください。不正の芽を摘むためには、罰を与えるだけではダメです。その後の「いい連帯感」を強めるよう、本人およびまわりに、間接的に働きかけるのが大切です。


自分を安全な場所に移動できたら、しばらくはのんびりと神経を休めて、そのあと初めて告発を検討してください。文科省がこれから作る告発担当窓口は匿名告発を受け付けてくれないようですが、安全な場所にいるあなたならきっといいアイデアが浮かぶはずです。また安全な場所にはまともな研究者がたくさんいますから、きっとあなたの勇気をたたえ、支援してくれることでしょう。


もしあなたが不正を止められなかったり、告発できなかったとしても、どうか自分を責めないでください。世の中には、どうにも救いようのない人間がいるもので、それはあなたの責任ではありません。まず自分の安全を確保することが、一番大切です。あなたには、家族がいて、仲良しの友達や研究者がいるのですから、まずは自分を大切にしてください。今はダメでも、数年後には行動を起こせるかもしれません。タイミングをはかるのも、とても大切なことです。


最後に。どんな立場に置かれても、必ず抜け道はあります。私もかつて、苦しい立場に置かれていた経験があるので分かります。必ず抜け道はありますから、一呼吸おいて、まずは自分の安全地帯を確保してください。焦って行動を起こさないでください。逃げ道がふさがれてしまうかもしれません。

もしどうしようもなくなって、死にたくなったら、必ず誰かに助けを求めてください。私でもかまいません。

だから、あなたは絶対に死なないでください、絶対に。



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