若手の理研離れが始まっている | 博士号取得大作戦! -presented by Mika-

若手の理研離れが始まっている


最近になって立て続けに、「これからの理研には期待できない」という意見を博士課程の学生たちから聞いた。彼らは今、理研の生物系研究室で研究を行っていて、私の目は未熟と知りつつも勝手に判断すると、非常に優秀、かつ今後絶対に優秀な研究者になるに違いない人たちだ。


彼らの意見はたまたま、全く別の機会に一人ずつ聞いたが、主張は全く一緒だった。「理研はキチキチしてて、常に追いまくられている感じ」「博士課程の研修にはいいかもしれないけど、将来ここで働こうとは思わない」「働いている人たちがとても辛そうで、自分はそうはなりたくない」


これが、今の理研の生物研究分野の、研究室内部の実態だと言えるだろう。対外的には多少、いやいや多大な成果が出ているように見えるかもしれないが、そこで働く博士学生たちは研究室の様子をこのように感じており、できれば今後はこういう環境を避けたいと願っていることがわかった。


現在の理研の研究の目玉、ビッグプロジェクトの中でも、タンパク研究関係、脳関係の研究室の一部がかなりきゅうきゅうとしているウワサは、分野に近い研究者であればみな知っているところだ。考えてみれば当たり前かもしれないけど、そんなにキチキチの中で学んでいる学生は、その研究あるいは研究分野に対して、決していい感情は持たないし、持とうとしても持てないだろう。


ギスギスした雰囲気での研究は、いま研究している人たちがいる間は何とか持ちこたえられても、次世代に良い影響を残さないことが分かった。今後日本の科学研究が発展していく上で重要なのは、今の博士課程の学生たちをどう育てていくか、である。近い将来の研究を支えていく若い人たちに「夢」を与えられないような研究の進め方は、長い目で見ると、日本の科学研究の衰退をもたらすに違いない。


そういえば、私の後輩に当たる博士課程3年のヤツは、企業への就職を決めたらしい。彼もなかなかガンバるタイプなんだけれど、アカデミックの世界に見切りをつけたようだ。アカデミックからの人材流出は、すでに始まっている気がする。

ハジを承知で大胆に予測すると、今の博士学生がポスドクになる時期、ちょうど数年後くらいから、理研での職を希望する優秀な研究者が減ってくるのではないだろうか。

特に生物分野で。