就活の思い出 ~最終面接でなぜ落ちた?~ | 博士号取得大作戦! -presented by Mika-

就活の思い出 ~最終面接でなぜ落ちた?~

ちょっと疲れ気味の未果です。みなさんは、お元気ですか? 季節はずれの台風接近にはびっくり仰天しましたね。つい10年ほど前までは、8月の台風は日本のはるか南の海上で知らない間に発生し、知らない間に東へ曲がって消えるのが常だったのに。これも地球温暖化のひとつの結果なんでしょうか。。梅雨は8月まで延びて、台風が8月でも襲ってくるんじゃ、すかっと晴れた日本の夏はいったいいつ味わえばいいんでしょ。困っちゃう。とりあえず地球のため、日本の夏のため、今日もクーラーをつけずにぺらぺらスカートとキャミソールでクールビズしてるワタシです。


ところで今回はふと思いついたので、就職活動の思い出話をしてみたいと思います。


今でこそ「自分はアスペルガーであるぞよ!」と一種のアイデンティティを獲得し、ヘンに落ち着いた気持ちになっているワタシですが、修士1-2年の就職活動時期は実に大変な思いをしました。なにしろ「自己分析」ってやつで、自分がいったいどういう考えの持ち主なのか一通りあらいだす必要があったからです。掘ればざくざく出てくる、20余年の変人の歴史。これをどう処理して、どうアピールせよというのでしょう。もちろんそんなこと、誰も教えてくれません。


途方にくれた私は完全にマニュアルに頼ることにしました。「これはマニュアル本ではない」と筆者が豪語する「面接の達人」シリーズをすべて読破し、書かれていた内容をほとんどすべて実行。「広告研究会出身者はそれを隠せ」などどうしても理解できない・または自分の属性と全く関係ない部分をはぶいて、ワタシは完全に「マニュアル人間・面接の達人号」になりました。


多分エントリーシートは100社近く出したでしょう。説明会に行った会社だけで30社近く。その中で「この会社なら働いてもいいかも」と思った会社のみ選んで、20社以上の入社試験を受けました。「働く」という意味も覚悟のつくりかたも知らなかった修士のとき、何をもって「働いてもいいかも♪」なんて決めたのか今では冷や汗ものですが、とにかく次から次へと入社試験を受けました。

受けた企業は大きく分けて、化学メーカー、化粧品メーカー、マスコミ出版系の3つ(あっ、マスコミなんて受けてる!(笑))。修士の採用は一般に学士より早く始まるので、修士採用に照準を合わせている化学・化粧品業界からどんどん試験が始まっていきます。


どんどん受けて、どんどん落ちたあのころ。でもいちいち落ちこんでいるヒマはありませんでした。なにしろ就職大氷河期をちょっと抜けたかな、くらいの就職がまだまだキビしかった年。ワタシは女性なので、それだけで門前払い同然の企業もありました。どことは言わないけど、某M鉛筆ね。今でも研究所勤務社員の集合写真は男性100%なんでしょうか? それはまぁいいや。


それでもさすがに最終面接にまでこぎつけて、なのに落ちた時は、毎回本当に悲しかった。初めて落ちた最終面接は某化粧品会社Fケル。「御社が第一志望です」なんて人事担当者全員に言うまっ赤なウソと違って、ほんとうのほんとうに第一志望だった。でもその人生かかった最終面接で、なんとワタシは、わんわん泣いてしまったのです。24才のいい大人が面接官の前で、ぼろぼろぼろぼろ大粒の涙。最終面接まで来られた嬉しさと緊張感と心配と、いろんな気持ちが混ざって、涙はどうしても止まりませんでした。その時の面接官はとても親切な言葉をかけてくれましたが、通知はやっぱり不合格。


「泣いたから、落ちたのかな」 誰だってそう思うだろうし、ワタシもそう思いました。それからの面接は、できるだけ泣かないように(?)謎の努力をしました。


次に迎えた最終面接は、某化学メーカー。今度こそ泣かないぞ、とヘンな覚悟を決めて臨んだ面接では、なんと、現場担当の面接官から、予想をはるかに外れた、しかしこの会社の業務内容にかなり近い、専門分野外の質問が。「すみません、分かりません」となんとか謝ったものの、頭は真っ白。そうか、専門分野だけが分かってても、ダメなんだ。会社研究が足りなかったワタシは、また今回も最終面接で落ちるんだ。


完全に絶望しきったワタシは、なんとか涙を見せずに面接室を出たものの、出たとたんにドバァッと大粒の涙。出口には担当の人事さんが待ちかまえており、またもや泣き姿をバッチリと見られてしまいました。「どうしたの」と優しく声をかけてくる人事の方に「どうしても…答えられなかった質問が…あって…すみません…」と、言葉を発するたびにますますくやしさがこみあげてきて涙が止まらず、とうとう泣きながら帰宅することになってしまいました。


「泣いたから、また落ちたんだ」って、思うでしょ? でも実は、最終的に内定をもらって入社したのはこの会社でした。実はワタシ、泣きながらも人事の方に「答えられなかった質問を調べて、その結果をレポートにして会社に提出したい」と申し出て、宛先をもらって帰ったんです(泣きながら)。それでレポートはまだ提出していないうちに、すぐ内定の通知が来た。泣いたから必ず落ちるってことじゃないんだなぁ、と心から身にしみて感じました。


じゃあいったい、最終面接で企業は何を見ているのでしょう? その謎を解く鍵が3回目の最終面接にありました。その会社は当時の某Nリーバ。3回にわたる面接・グループディスカッションを突破し、手ごたえはバツグン。すでに内定が出ていた某化学メーカーよりも志望順位が上だったので、はりきって最終面接にのぞみました。


結局はここにも落ちたので、ワタシは某化学メーカーに就職することになったんだけど、どうして落ちたのか理由が分かったときは本当に笑った。Nリーバは当時、飲料の研究をする新卒者が欲しいと考えていたのに、ワタシは最終面接で「シャンプーの研究がしたい」と答えたのが理由だったんです。えっ、信じられない?(笑)


Nリーバ社屋のロビーで、一つの机に集まって最終面接を待つ、数人の志望者。最終面接まで来るとそれまで敵だった人事さんが急にこちらの味方になるんだけど、にこにこした顔の人事さんは、神妙にしてた志望者たちに突然飲料ペットボトルを出してふるまってくれました。「うちの製品だけど、味はどう?」なんてアヤシイこというから、てっきり最終面接でそういう質問が出るんだと思って覚悟して部屋に入ったワタシ。でも聞かれたのは通り一遍のことと、「あなたは○○と○○、○○の中で、どの研究を志望しますか?」という質問だけ。ワタシは「シャンプーがいいです」と答えて、それで面接はつつがなくおしまい。


でも次に面接室に入って出てきた別の志望者は、出てくるなり「ああ、これって、そういう理由だったんですね?!なぁんだもう、いやー僕はがんばりました!!」 

???……!!!!!! そう、この最終面接は、残ったヤツらのなかから飲料に興味があるヤツを選ぶためのものだったんです。ワタシはシャンプーと答えた自分の口を呪ったものの、すでに遅い。案の定、ワタシの元には後日不合格の電話がかかってきました。


企業で社員として働いた経験のある今なら、この事情をもっとくわしく説明できます。企業、特に新卒者を採るようなある程度規模の大きい企業は、何年も前から「○○年度の新卒には、こういう人材が欲しい」と、かなりきっちり方針を決めているんです。具体的に例を挙げると、ワタシがいた某メーカーの某部署では、2年後に採る新卒者に「薬剤師免許を持っている人が欲しい」と完全に指定していました。すると2年後にどんな優秀な院生が入社試験を受けにきても、薬剤師免許を持っていないだけでいつか絶対に落ちるってわけです。


「就職活動は、縁だ」ってよくいうけど、実は縁が重要なのは最終面接。最終面接で運良く「企業側が本当に求めている人材」にあなたが当てはまれば、内定がもらえます。最終面接で突然人事がこちらの味方になるのは、「人事の目から見て、あなたは内定に値する、立派な人材ですよ」とすでにお墨付きが出ているからなんです。


そう、最終面接までこぎつけたあなたはすでに、人事から高く評価されている立派な「人財」。最後の最後の条件まであなたにぴったり当てはまる「縁」ある企業が見つかるまで、くじけないでがんばって!


って、誰に言ってるんだこりゃ。



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おまけ。

文科省が、年内に論文不正告発窓口を作るそうです。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060805it04.htm?from=top

ひとり色めき立ったそこのあなた、匿名の告発は受け付けてくれないそうですよ。くれぐれもご注意下さいね。