不正受給と内部告発 | 博士号取得大作戦! -presented by Mika-

不正受給と内部告発

朝日新聞 6/15 夕刊にこんな記事が出てましたね。

「早大理工学部 教授、不正受給か」
http://www.asahi.com/national/update/0614/TKY200606140171.html


>早稲田大学理工学部の教授が文部科学省の

>研究費を不正に受け取っていた疑いがあるとの

>内部告発を受け、早大が学内に調査委員会を

>設置して調査を始めていることが14日、分かった。

>本人は不正を否定している。
中略

>関係者の話では、教授はこのうち、

>学生アルバイトを雇用する名目で大学から

>受け取った金を、実際にはアルバイトを雇用せず、

>本来の目的とは違う使途に流用した疑いが

>もたれているという。流用額は数百万円に上る

>との見方も出ている。



内部告発か、ふーむ。



「こわーい、この教授、悪い人なのねー」なんて

表面だけ見てしまうと、事件の本質が見えなくなりそうなので

ちょっと解説。



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理系研究社会を直接知らない方は
ご存じないかもしれませんが、

どんな教授・研究主任も、

多少の資金流用(目的外使用)はしてます。

ほとんどの人がしていると言っても言い過ぎではないはず。

というのも、現在の研究資金は、まー、

非常に使いにくいんです。

(モノを買うための予算は余っている一方で

人件費が足りなくても、予算の振り替えが不可能だったり、

その他、いろいろ)



しかし、そういう事実は普通、表面化しません。

それは、不適切な資金流用があると

知っている人全員が、あえて指摘したりしないからです。


たいていの場合、予算の筆頭者(教授・研究主任ら)は

研究室の人たちを守る・または研究環境を守る目的で

やむにやまれず流用を行っています。

研究室の人たちは、自分たちのために流用をしている

予算筆頭者の苦々しい状況をちゃんと知っていて、

かつ感謝しているため、あえて指摘したりはしないんです。

事務方の人たちも、多少ヘンな状況があると

感じていたとしても、

予算筆頭者の大変な現状も理解しているので、

あえてつついたりはしないことが多いのです。



でも今回、早稲田の教授が

「内部告発された」という事実から見ると、

もしかしたらこの教授、だれかに恨みを買うような行動を

日頃からしていたのかも。

どんなに恨んでいても、雇われていた研究者は

内部告発しにくいですから、

もしかしたら事務方から告発されたのかも。。。

うーん。



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もちろん、不正をやってしまったこの教授は

責められても仕方ありませんが、

予算を一円単位まで研究者自身に

勘定させ、管理させるのは

ほぼ不可能だし、非効率だと私は思います。


そういう金勘定がもともと得意なら、

研究者にならずに会計士にでもなっていますよ。

会計士になれないから、研究者をやってるんです。



研究者には、細かい金勘定までは任せずに

研究の発展にもっと力を注がせて、

予算のことは別の人にうまく管理してもらうか、

予算の来年度持ち越しも許したりするなど

少しは使用方法をゆるくしないと、たちいかなくなりそう。


研究者たちはもうすでに、

「自分の雇用の確保」

「研究業績のための実験・論文執筆」

でいっぱいいっぱいなんですってば。

この上予算の使い方まで

さらにぎゅうぎゅうに締め上げたら、

クリエイティビィティどころじゃありませんよ、

ホントに。



政府の方々にも、

現状をもう少し知ってもらいたいものです。