研究サバイバル~あなたのボスは「役に立つ」?~ | 博士号取得大作戦! -presented by Mika-

研究サバイバル~あなたのボスは「役に立つ」?~


研究者に必要な能力は、研究能力だけではない。

いつかは自分の研究室を持ち、主催者として研究室を切り盛りする立場になることを見越せば、いわゆる「他の人間を動かすマネジメント能力」が必要なことが分かる。

学生は、自分の所属する研究室主催者の指導その他を受けることで、研究室でのふるまいや、共同研究などにおいての人付き合いのルール・マナーを自然に身につけていくのか普通だ。

一番身近にいる研究世界の大先輩と生活を共にする間に、人付き合いの仕方・共同研究の広げ方などの方法を横目で見て、ノウハウを盗みとっていけばいいわけである。



ところがここ最近、マネジメント能力が全くない研究室主催者が増えてきている。

もっとはっきり言えば、人を育てる能力が全くないボスが増えてきているのだ。



博士研究者(ポスドク)を採用したら、採用しっぱなしで指導・ディスカッションなし(というかできない)。他の研究者と交流しようとすると、なぜか邪魔をする。

採用する時にはいい顔をしているのに、その後は実績にならない理不尽な要求ばかり繰り返す。

研究世界についてまだ何も知らない学生を呼び寄せて、論文にならない実験ばかりさせる。

研究室の異様さに気づいたまともな人は当然すぐ辞めていくため、研究室にはいつでも人が足りない。



マネジメント能力がない研究主催者は、その後どうするか。

常に公募で人材募集を出しながら、派遣社員を使い捨て同然で雇いはじめる。

指導力がないため、雇った派遣社員にも指導なし。派遣社員はしがらみがないので、すぐ辞める。

人が足りないのでまた雇う。また辞める。また雇う。すぐ辞める。

永遠にこの繰り返しだ。



こうして人がどんどんどんどん入れ替わるばかりで、研究ノウハウの蓄積が全くない研究室ができあがる。

もちろん、こんな研究室にしてしまったすべての責任は、人を育てる能力を持っていない、研究主催者にある。




マネジメント能力のないボスの元にいて、得られるものは何だろう。

とりあえず今は給料が得られても、その先はあるのだろうか。

マネジメント能力のない研究室主催者は、一般企業で言えば「理不尽な要求ばかり言ってきて業務の指示はしない、社員10名程度の小企業の社長」にあたる。

それでも一般企業なら次の就職に実績はいらないかもしれない。でも、研究の世界では、業務=論文書きが進まないことで即、次の職を得るのが難しくなるのが現状だ。

論文が出せそうにないなら、早めに見切りをつけて、さっさと他に移るべきではないのか。




研究がうまくいかないのは、あなた自身の研究能力が足りないため「だけ」なのか?

理不尽な研究室に入ってしまったのは、あなた自身の責任「だけ」なのか?

「こんな自分を拾ってくれたボスを裏切れない」と思うのは自由だが、いいことは多分ない。見返りも期待できない。

第一印象は10年続くというが、仮にも研究者の端くれなら、その後の状況を冷静に判断し、自分の立ち位置を見極め、今後の方向性を見直せるはずだ。

初めにすりこまれた「いいボス」の幻影を、論理的思考で振り払ってほしい。




人を人とも思っていない(思えない・生まれつき思う能力がない)ボスは確実に存在する。

もし「何かヘンだ」と思ったら、まずは立ち止まって冷静になってほしい。

そんな環境ですり減りたいのか、それとも、もっといい環境に移りたいのか、まずは自分自身に尋ねてみてほしい。

自分の中に答えが見つかった瞬間から、世界が変わり始める。心から望めば、もっといい環境は必ず見つかる。

焦らず、卑下せず、まずは冷静・客観的に今の状況を見直してみてはどうだろう。





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参考:事象の地平線(ブログ) 不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ  



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意味があるかないか謎なコメント:

筆者(佐藤未果)はうつ経験者です。うつ病に関するエントリも書いてますので良かったらご参考下さい。

http://ameblo.jp/flowering/theme-10000481339.html

(うつ病だと分かったら、まずは病気を治すのが先決ですよ~☆)

モラルハラスメントのエントリも参考になるかも。

http://ameblo.jp/flowering/theme-10002015252.html


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このエントリは、私が実際に目にした「崩壊寸前の2つの研究室」(どちらも私のいた所!)、および人から直接聞いた話を元に構成しています。